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東京高等裁判所 昭和31年(ラク)70号 決定

抗告人は当庁昭和三十年(ラ)第四一七号及び同年(ラ)第四二〇号競落許可決定に対する抗告事件につき当裁判所が昭和三十一年三月五日なした抗告棄却の決定に対し適法の期間内に当裁判所に特別抗告状を提出し、右抗告状には抗告の理由と題し「原決定には民事訴訟法第四百十九条の二に定める理由がある。後日理由書によつて明らかにする。」と記載してあるが、抗告人は右特別抗告受理通知書送達の日である昭和三十一年三月二十五日から五十日以内に右抗告状にいう理由書を提出しない。

そもそも民事上告事件等訴訟手続規則第十五条第九条によれば特別抗告状または同規則第七条の期間(特別抗告理由書提出期間)内に提出した特別抗告理由書における特別抗告のすべての理由の記載が、同規則第三条または第四条の規定に違背することの明らかなときは、原裁判所は、決定を以て相当の期間を定め、その期間内に欠缺を補正すべきことを命じなければならないとし、且つこの場合民事訴訟法第三百九十九条第一項第二号後段の規定(同法第四百十九条の三、第四百九条の三により特別抗告にも準用)による抗告却下の決定は、前記補正命令に定めた期間内に抗告人が欠缺の補正をしないときにすることになつているが、かような規定が別段民事訴訟法の委任に基ずくのでもなく設けられているのは、抗告状または抗告理由書に一応不服の理由が記載されていても、それが民事訴訟法第三百九十八条第二項により最高裁判所規則に定める方式によつていないことを当該抗告人(一般には上告人)において看過していることもあり得るから、かような補正することのできる方式の不備のために不意打的に抗告を却下しないように、予め補正命令を発することとした法意であることが窺われる。本件の場合特別抗告人は抗告状に記載した抗告理由だけではその方式が不備であることを十分承知して、追て別に理由書によつて明らかにする旨自陳していながら、上記規則第七条所定期間内にかかる書面を提出しないのであるから、更に前記規則に定める補正を命ずるまでもなく、前記抗告状記載の抗告理由が同規則第三条所定の方式を欠くものである以上、本件特別抗告は民事訴訟法第四百十九条の三、第三百九十九条第一項第二号後段に則り却下を免れない。

(斎藤 坂本 小沢)

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